問. 次の英文を和訳しなさい。
What can young people learn now that won’t be superseded within their lifetimes by these devices and that will secure them good jobs and solid income over the next 20, 30 or 50 years?(帝京大)
読めるかどうか差がつきそう
『英語教育』10月号の真野先生の回答が話題になっていたので,この本を買っていない方のために簡単な要約を。
・Two climbers were rescued after falling.
(滑落した登山者2人が救助される)
after fallingを「滑落した後で」と訳していないのはなぜか?という質問です。
真野先生の(長い)回答の要点:日本語の「~したあと」は,ある程度独立した2つの出来事を語る響きになる。たとえば「メアリは退職したあとに帰国した」なら(2つの出来事の間に因果関係はないから)自然だが,「メアリは滑落したあとに救助された」はやや不自然に感じられる。英語の面から言うと,上の和文をTwo climbers who had fallen were rescued. と書くと「滑落しなかった登山者たち」との対照が意識されてしまう。また「大学を卒業したメアリはフランスへ渡った」をMary, who had graduated from college, moved to France. と書くと,関係詞節が補足情報となるため「いわば同一平面上に乗らなくなる」。したがってこのように一連の時間的経過を表したいときは,afterを使って(最初の文やMary moved to France after graduating from college. のように)表現する方が自然な英文になる。
参考:上の記事の焦点はafterですが,beforeの訳し方についても次の点は知っておくといいかと思います(以下の例はWisdomより)。
・Give me that knife before you cut yourself.
(けがをするといけないからそのナイフをちょうだい)
→このbeforeはin caseに近い意味。「けがをする前に」と訳すと,けがをすることが前提のように(あるいは相手を責めているように)響くのでやや不自然。
・A lot of data must be gathered before you can write a history book.(歴史の本を書くには多くのデータを集めなければならない)
→before S canは「Sが~する(ため)には[~するに当たっては]」の意味。「書くことができる前に」という訳語は不自然。
次の文と最も意味が近いものは?
Most types of artificial intelligence are relatively easy to deceive.
① Most types of AI are deceptively easy
② Most types of AI can easily be deceived
③ Most types of AI can easily deceive us
④ Most types of AI can easy and deceptive
これは実力差でるぞ!
等位接続詞のforが文頭に来ることなど、いくらでもありますよ。andは等位接続詞ですが、「andは文頭には来ない」なんて言ったらおかしいでしょ。それと同じです。等位接続詞forと従属接続詞becauseの違いは疎結合と密結合の違いなんていう曖昧なことではないです。
もうずいぶん昔になるけど、オバマ大統領の就任演説に次の一節があった。
For the world has changed, and we must change with it.
オバマ大統領のキャッチフレーズはchangeだったけど、就任演説の中でchangeが使われたのはこの1文だけだった。だから、この英文は大々的に取り上げられた。
就任式翌日の朝刊各紙は一斉に、この一節をオバマ演説のハイライトとして大きく取り上げて報じました。でも、そこに載っていた訳文は一致して、次のようなものだった。
「世界は変わった。だから、我々も世界と共に変わらなければならない。」
驚いたことに、駐日アメリカ大使館が発表した公式翻訳も、これと同様の訳文だった。
この和訳は完全な間違いです。この和訳なら、英文はBecause the world has changed, we must change with it.でなければならない。
正しい読み方は「なぜなら世界はすでに変化していて、我々は世界と共に変わらなければならないからなのだ」です。この読み方だけが、文頭の等位接続詞Forを正しく捉えているからです。
「英語が読める」とか、「圧倒的な読解力」とか、口で言うのは簡単だけど、文法も何もやらず、多読とフィーリングで押し通してきた人の内実はこんな程度のことなのです。